幼稚化する政治家の問題発言 なぜこんなにレベルが低くなったのか
「法相は死刑のハンコを押す地味な役職」「LGBTは生産性がない」。そんな発言をした政治家が昨年末、大臣や政務官を辞任した。今年に入ってからも麻生太郎・自民党副総裁の「原発で死亡事故ゼロ」が物議を醸した。批判を招く政治家の発言は昔から数え切れない。ただ今と昔では背景にある何かが違う。識者3人とともに考えた。(稲垣直人)
2000年以降に現れた「7番目のタイプ」
50代半ばの記者にとって、政治家の失言といえば、以前なら日本の戦争責任をめぐる発言という印象が強い。とくに1980年代、90年代は、上の表に挙げた以外にも、タカ派とされる閣僚の発言が問題となり、辞任に発展したケースが少なくない。
ただ近年、こうした歴史認識に関するものはあまり聞かない。しかし政治家の問題発言は後を絶たない。
2005年に著書『戦後政治家暴言録』を出したノンフィクション作家の保阪正康さんは、政治家の失言を▽歴史解釈にふれるもの▽女性蔑視・性差別▽倫理観にふれるもの▽事実に反する虚偽▽無知丸出しのもの▽イデオロギー対立からくる罵倒など六つに類型化し、2000年以降は「扇動型」とも言える7番目のタイプが現れたと指摘した。保阪さんに改めて話を聞いた。
「先の戦争を巡る政治家の放…
- 【視点】
政治家の「失言」が現代的な文脈、すなわちSNSの発達や国民の受け止め方の変化、国際環境の変化、によって変わってきたということは確かだろう。しかし同時に以前よりも政策通と言われる人たちも増え、世襲議員であってもサラリーマン経験があったり、NG