福島第一原発の除染事業、半数が「1社応札」 落札率も高止まり傾向

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山本孝興
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 東京電力福島第一原発事故後に国が発注した福島県内の除染関連の事業で、契約の約半数が1社しか入札に参加しない「1社応札」だったことが、会計検査院の調べでわかった。原発周辺の自治体では、特定の企業などが契約を独占していた実態が浮かび、検査院は環境省に対し、競争性の確保などの対応を求めた。

 1社応札は価格面での競争が生じないため、予定価格に対する落札額の割合を示す落札率が高止まりする傾向にある。除染関連でも落札率の平均は、複数応札の81・3%に対し、1社応札は94・6%と高い水準だった。

 1社応札が数年にわたって続くことで不正に発展するケースもあり、2017年には福島県内の除染事業に絡んだ贈収賄事件が発覚。環境省の元職員が収賄罪で有罪判決を受けた。

 環境省の入札監視委員会は14年、福島県内の除染事業に絡む1社応札と高落札率について、「競争性の確保できる取り組みを検討すること」と意見。同省は翌年に改善計画を定めていたが、今回の検査で、それ以降も1社応札が続いていた実態が明らかになった。

 法律に基づく除染関連の事業は、▽除染▽汚染廃棄物処理▽中間貯蔵施設▽特定復興再生拠点区域の四つの事業に分かれる。検査院によると、震災以降、21年度までに計5兆1600億円の予算が執行された。

 検査院はこのうち、契約書類が残る16年4月から21年9月の1213件(契約金額1兆8540億円)を中心に分析した。全体の8割超の984件は福島地方環境事務所が担当し、一般競争契約は735件(契約金額9365億円)で、うち362件(49・3%)が1社応札だった。

ゼネコンが地域独占も

 さらに、四つの事業のうち除…

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