東京大と理化学研究所は昨年、小中高校生を対象にした「子ども睡眠健診プロジェクト」を始めた。就寝時刻が他国に比べて遅いなど、子どもの睡眠の乱れが指摘される中、アンケートなどの主観による調査ではなく、機器を用いて正確なデータを取る大規模調査をすることにした。2025年度までに5万人分を集め、日本の子どもたちの睡眠の実態を把握するという。
東京大の上田泰己(ひろき)教授(システムズ薬理学)が研究総括を務める。手首にまく腕時計のような「リストバンド型加速度計」で、腕の動きから睡眠か覚醒を記録。入浴時以外は腕に着け、原則7日間、日常生活を送ってもらって解析する。起床や就寝、リストバンドを外した時刻などを記録する「睡眠日誌」も期間中、できる範囲で書いてもらう。
プロジェクトを進める南陽一・東京大特任准教授(時間生物学)は「計測したデータと日誌を見比べると、就寝したと書いた時刻より実際に睡眠に入った時刻は遅いことが本人も分かる」と説明する。岸哲史・同大特任講師(睡眠科学)は「普段あまり気にしない眠りについて、子ども本人と保護者が睡眠の質を知り、睡眠に関する知識を増やしてもらうことも狙い」と言う。