8歳で散った命、海璃くんを忘れない 父と同級生のモザイクアート
高層ビルが林立する東京・虎ノ門の「虎ノ門二丁目」交差点。3年前の2月4日の朝、横断歩道を渡っていた港区立麻布小3年の大久保海璃(かいり)君が、左折してきたワゴン車にひかれて亡くなった。8歳だった。
当時は地下鉄新駅の工事現場を囲う塀や標識で見通しが悪かった。さらに運転手の男性はカーナビを見ながら脇見運転をしていたことが、事故の原因とされた。
事故前日、学校のサッカークラブに体験入会した海璃君はシュートを二つ決めた。5歳から培った実力を友達に披露できたのがうれしかったのだろう。家に帰っても興奮気味だった。
いまだ癒えない傷も
それが翌朝、父の祐三さん(49)が病院で対面した海璃君は別人ではないかと思うほど、損傷が激しかった。ただ海璃君が生まれた時に「自分そっくり」と心を揺さぶられた右耳はそのままで、現実と受け止めるほかなかった。
「海璃が一番喜ぶのは、家族みんなが元気でいること」。残された家族はそう信じて過ごしている。海璃君の兄(15)は高校受験の勉強に、姉(13)はダンスの練習に打ち込む。
ただ、癒えない傷もある。海璃君と一緒に登校することが多かった姉は、今も現場の交差点を1人で渡れずにいる。
愛する息子を奪った事故が忘れられてしまうことに焦りを感じた祐三さん。悲劇を繰り返すまいという思いで行動を起こします。
「今日も家族が穏やかに過ご…