幻のこんにゃくは山菜の味わい 80代トリオが練り上げる在来種
西崎啓太朗
ある秘境の集落でしか食べられない「幻のこんにゃく」があるという。車1台がやっと通れる林道をのぼると、こんにゃくを作る80代の女性トリオに会えた。
水戸市から40キロほど北にあり、10軒ほどの民家がぽつんぽつんと建つ茨城県常陸太田市の持方集落では、古くからコンニャクイモが栽培されてきた。昼夜の寒暖差が大きく、水はけも良いこの里山は、江戸時代に一大産地として栄えた。
持方には、地元の人が「ジネンジョ」と呼ぶ在来種のコンニャクイモが伝わる。3年育てても、イモは重さ2キロほどにしかならず、葉枯病などにかかりやすい。
1960年代以降、コンニャクイモの主流は「あかぎおおだま」や「はるなくろ」など大玉の改良種に変わった。10キロ超に成長し、病気にも強い。持方の在来種は、機械が入れない急斜面で自家用に細々と育てられるだけになっていった。
この在来種をこんにゃくに加工するのが、須賀川静枝さん(87)と親戚の須賀川恵美子さん(82)、益子ウラ子さん(80)の3人組だ。
「この雪と山道にはたまげた…