「天ぷら廃油で鉄道を動かす」 3代目社長があげるエコの高み

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本井宏人
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 天ぷら油などの使い終わった食用油を高純度のバイオディーゼル燃料に精製し、軽油と混ぜて鉄道や大型車の燃料に使う仕組み作りを、岐阜県恵那市廃棄物処理会社が始めた。エネルギーの地産地消とともに、二酸化炭素(CO2)排出削減にもつながる。将来はガソリンスタンドでの販売をめざす。

 「ケイナンクリーン」は1985年創業で、従業員は45人。廃棄物リサイクルの一環として20年ほど前、飲食店から回収した廃食用油を精製して自社のトラック燃料に使っていたが、燃料の純度が低かったためエンジンの不調が相次ぎ、一度は試みをやめた。

 その後、3代目社長に就いた近江則明さん(56)が2017年、「減圧蒸留」の工程を加えるなどして純度99・9%に精製できる装置を導入。エンジン不調はなくなった。「捨てられる油を活用したいという気持ちだけで、半信半疑のかけだった」と近江さん。できた高純度の燃料は「リーゼル」と名づけた。

 リーゼルは、燃焼時にはCO2を排出するが、原料の植物が成長過程でCO2を吸収するため、排出量は「実質ゼロ」。航空燃料などとして高い評価を受け、近年では高値で輸出されている。

 一方、国内では自動車用燃料の場合、軽油との混合率が品質確保の点から5%に制限されている。

B30燃料を使った実験は、熊本空港や、さらには近江社長の地元・岐阜県の明知鉄道でも始まっています。効果を検証して、国に報告するそうです。

 近江さんが副会長を務める「高純度バイオディーゼル燃料事業者連合会」では、65社の会員企業が規制緩和を目指す。軽油との混合率を30%まで高めた「B30燃料」の国内初の実証実験もその一つ。熊本空港でコンテナ牽引(けんいん)車の燃料として使って効果を試す。

 ケイナンクリーンは昨年10…

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