「大きくなってごめんね」11歳の涙 障害福祉にも「所得制限」の壁
児童手当の「所得制限撤廃」に注目が集まる中、障害のある子どもたちを支える福祉や医療の制度にある所得制限の撤廃を求める声が上がっている。3日、障害のある子どもを育てる親でつくる「こどもまんなか障害児福祉を望む親の会」(代表=八田千尋さん)がオンラインで会見。「障害や病気があるがゆえの苦しみに加え、支援を受けられないという二重の苦しみ」の解消を求めた。
会見では、11歳の娘に身体障害があるという女性(45)が現状を説明。車いすや歩行器といった体の機能を補う「補装具」は高額なため、購入費の負担を軽減する国の仕組みがあるが、年収約1200万円以上(障害者1人を含む3人家族の場合)の人は対象外で全額自腹となる。
女性の家庭も所得制限にかかり、娘が2歳のころから計270万円を自費で支払って補装具を購入してきた。補助が受けられた場合との差額は200万円以上になるという。
購入費に充てるため、女性の夫は仕事が休みの日もアルバイトをし、家族そろっての休日の時間も少なくなった。もう一人の子どもから「みんなの家みたいに家族で遊びたい」と言われたこともあったという。
少しでも補装具の費用を抑えるため、体に合わないものを使い、背骨が曲がる二次障害が出ているという。成長に合わせて買い替えが必要で、娘はある時、女性に「大きくなってごめんね」と涙をためて言ってきたという。
会見に同席した新生児科医の今西洋介さんは「家族は仕事を終えた後、家で介助している。24時間働いているような状態で、政治や社会ができることがあるのではないか」と話した。日本大学の末冨芳教授は「こどもがより良い人生を送れるように国全体で支えていく必要がある」と指摘した。(久永隆一)
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