県のコロナ対策、評価と課題と 検証報告まとまる

新型コロナウイルス

羽場正浩
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 新型コロナウイルスの感染者が山梨県内で初めて確認されてから、来月6日で3年になる。この間、県の感染拡大防止策や医療提供体制、経済対策などはどうだったのか。県は民間の調査会社に委託してまとめた「検証・記録業務に関する報告書」を公表した。感染者や死亡者の数は低い水準で抑えられたなどと評価する一方、ホームケア(自宅療養)導入の遅れなどを指摘した。

 県には2014年に作成した「新型インフルエンザ等対策行動計画」があったが、コロナ禍の対策にはほとんど役に立たなかったという。検証作業は、手探りで進められた対策に関する膨大な資料の整理や、人事異動で薄れる担当職員の記憶を速やかに記録する必要性などから、第三者の視点で一昨年から進められた。20年1月から昨年10月の第7波までを検証の対象とした。

認証制度、全国に

 報告書では、感染症対策の基準を満たした飲食・宿泊施設を県が認証する「やまなしグリーン・ゾーン認証制度」が「山梨モデル」として注目され、「安全・安心という山梨のブランドイメージの形成に寄与した」と評価。同様の制度が全国に拡大する流れを作ったとした。

 県は感染初期から、施設に対する営業自粛要請に伴う協力金の支給を「一時的な効果しか見込めない」として抑制。対象を21年の1~2月と8~9月の2回にとどめた。一方で感染防止目的の設備改修や機器購入に対する補助を手厚くした点を評価した。

理念から遠いYCDC

 コロナ対策の司令塔として21年4月に発足させた「山梨県感染症対策センター」(YCDC)は「未知の感染症に備える組織という野心的で高い理想を掲げたが、設立の理念に現状が追いついていない」と指摘。「目の前の対応に忙殺され、中長期的な課題には手が回らず、深い情報分析もできていない」と分析した。企画立案や情報分析の人員を拡充し、数カ月単位で分析・検証して政策に反映させ、将来の感染症に備えた行動計画を策定するよう、提言している。

 医療提供体制では、医療機関やホテルなどの協力を得て、病床や宿泊療養施設の確保数は人口比で全国トップレベルとした。その一方、県が当初打ち出した「自宅療養はしない」とする長崎幸太郎知事の方針とは裏腹に、感染が急拡大した第5波の21年8月には療養先が見つからない自宅待機者が183人に達した。この点には「迅速で柔軟な対応ができる環境作りが望まれる」とした。

 また、「1人の感染症専門医に過大な役割を負わせる状況が2年半以上も続いている」とし、人材育成に加えて組織として対応できる体制の整備を求めた。

機動的な見直しを

 情報発信の分野では、長崎知事が22年1月の会見で、オミクロン株による第6波に伴う感染者急増を踏まえ、ワクチン未接種者に「外出・移動の自粛」を呼びかけたことが「差別発言との誤解を招き、2月末までに6020件の抗議や批判が殺到した」と指摘。二つの問題を関連づけずに対応するのが賢明だったと分析した。県のホームページ(HP)も「必要な情報を探しにくい」という批判があるとして、機動的な見直しを求めた。

 検証作業をした調査会社は、県民約1千人に対する電話アンケートも実施した。感染拡大防止策とグリーン・ゾーン認証制度については各78%、医療提供体制とワクチン接種は各76%が前向きに評価した。情報発信は62%、経済対策は56%にとどまり、相対的に評価が低かったという。

 報告書は県のHPに掲載されている。(羽場正浩)

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