こわばった表情はストレスの表れか 仏カメラマンが撮った北朝鮮
「北朝鮮の市民は全員がエキストラだ」。フランスのカメラマン、ステファン・グラデュー氏が昨秋に発表した50枚以上の写真群を見ながら、デンマーク出身の映画監督、マッツ・ブリュガー氏の言葉を思い出した。グラデュー氏が撮影した写真群は、北朝鮮の一般市民の姿を捉えている。だが、それを見た誰もが「なんとなく不自然だ」という感想を抱くだろう。
グラデュー氏が北朝鮮の人々を撮影したいと思ったのは、国際社会が一般の人々にはあまり焦点を当てていないと感じたからだという。「私たちは、北朝鮮の独裁者については語りますが、一般の人々の生活はあまり知りません。彼らのアイデンティティーを知ることにとても興味がありました。どんな人々なのか、その答えを見つけるチャンスが欲しかったのです」
グラデュー氏は2017年から20年にかけて計5回、北朝鮮を訪れ、いつも2週間ほど滞在した。訪れた場所は平壌(ピョンヤン)のほか、日本海側の江原道元山(カンウォンドウォンサン)、南北の軍事境界線をはさんだ非武装地帯などだった。都市だけではなく、農村や海岸部にも足を運んだという。
グラデュー氏は「学校、工場、病院、遊園地など、いろいろな場所に行きました。訪れるためには許可が必要です。朝から晩まで、ガイドと運転手が同行しました」と振り返る。撮影をするための事前交渉は数カ月にわたったという。
訪れる場所も、出会う人も、すべて準備されている
複雑な手続きは、グラデュー…
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