「安すぎる」日本のラーメン 上がらない賃金「国の将来が心配」
元サッカー日本代表の本田圭佑さん(36)のツイートをきっかけに、「安すぎる日本」をめぐる議論が盛り上がっている。
本田さんが1月に投稿したのは、ラーメンの値段についての思いだった。
「あのうまさで730円は安すぎる。もうちょっと値上げするべき。ってか色んな業界がもう少し値上げするべき。次ラーメン食うときは2000円支払います」
ツイッター上では「千円を超えたら無理」という意見が出た一方で、「ラーメンは二千円になっていいし日本人の給料は2倍、いや3倍になっていい…どっちも安すぎるんよ」と指摘する声もあった。
「やっぱり日本のラーメンは一味違う」。1月、東京都中央区の一風堂銀座店で、米ニューヨークの会社員アンデス・リーさん(23)は笑みを見せた。注文したのは、ラーメンにギョーザ、ライスが付いた定食(990円)だ。
一風堂グループは海外で137店舗を展開する。特に物価が高い米ニューヨーク店では、一番安いラーメンでも、1杯18ドル(約2300円)。チップや税金もあり、日本円で1杯約3千円かかる計算だ。リーさんは「ラーメンだけでなく、日本はすべてが安すぎる」と話す。
日本と海外の「ラーメン格差」を最も感じるのは、海外に駐在する日本の会社の従業員だろう。
約1年前に東京から米ロサンゼルスに転勤した女性会社員(50)は「日本では気軽にラーメンを食べていたが、ロサンゼルスでは1杯2千円する」とこぼす。
物価の高騰にともない、ロサンゼルス市は昨年、最低賃金を時給15ドル(1950円)から16・04ドル(約2080円)へ引き上げた。「でも私の給料はずっと上がらないどころか、円安の影響で目減りする一方」とため息をつく。
経済協力開発機構(OECD)によると、21年の日本の平均賃金は1990年から6・3%しか増えていない。著しく上昇した米国(53%増)や英国(50%増)との差は大きい。
米国で働く日本人女性(35)は、「帰国するたびに、外食の価格があまりに安いことに驚く。うれしい半面、日本の将来を考えると心配になる」と話す。(伊藤恵里奈)
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- 【解説】
本田さんの発言をきっかけとしたラーメンの値段をめぐる議論は、評価が難しいテーマです。日本の産業界がこれまでひたすら価格勝負に走り、過当競争に明け暮れてきたのは事実です。経営学や経済学の理論上、拡大市場あるいはシェアの拡大が見込める市場におい
- 【視点】
OECDのデータで見ると、日本の名目賃金が最も高かったのは1997年であり、それと2021年を比較すると5.5%下がっている。 他のOECD諸国について、1997年と2021年を比較してみると、日本の次に伸びていないのはスイスだが、31.