国軍がクーデターで実権を握ってから2年を迎えたミャンマーで、民主派による国民統一政府(NUG)が作った国民防衛隊が国軍と戦闘を続けている。NUGの「国防相」としてその責任者を務めるイーモン氏が2日までに、朝日新聞の質問に書面で回答した。国軍は民主主義を崩壊させ、長期の内戦、社会経済の停滞などの問題を招いたとして、徹底的に対抗する構えだ。
イーモン氏は、もともと民主活動家で、詩人でもある。2011年のミャンマーの民政移管後、15年の総選挙でアウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)から出馬して国会議員になった。クーデター後、NUGに加わり、防衛を担当している。
イーモン氏によると、国民防衛隊には全国の若者らが加わり、300を超える大隊を組織しているほか、農村部を中心に全国に民兵組織が展開しているという。だが武器弾薬については、「かなり努力しなければならない状況」だと説明した。
国軍と対立する各地の少数民族の武装勢力とも同盟関係を結び、共同で作戦を実施。北西部ザガイン管区や、中部のマグウェー管区を中心に「農村部の多くをしっかりと支配している」と主張した。だが空軍力を持たないため、たびたび空からの攻撃を受けており、国軍の空軍が「最大の危険だ」とした。
国軍はNUGをテロ組織だとして、指導者らを訴追の対象にしている。このため、指導者の多くは国外も含めた各地に散っているとみられている。
これに対しイーモン氏は「私を含め、NUGの閣僚の多くはミャンマー国内の国境地帯にいる」と強調。各地の責任者も、自分たちの地域で職責を果たしていると述べた。
NUGを正当な政府として認めた国は、日本を含めてひとつもないのが現状だ。イーモン氏は「(国軍は)ミャンマー国民を代表しておらず、実際にも領土を支配できていない」とし、NUGの承認は「ミャンマー国民が求めている」と訴えた。
イーモン氏との主なやりとりは以下の通り。
「戦闘意欲は高い」
――NUGの軍事的な能力…