伊豆諸島三宅島。中央にそびえる雄山(標高775メートル)は太古から噴火を繰り返す。巨大な噴火口が広がる山頂周辺は荒涼とした景色だが、ふもとには樹齢数百年の巨樹の森が広がる。
幹と根が複雑に絡み合い、横へ上へと広がるスダジイ「御焼(みやけ)の黄泉(よみ)の椎(しい)」。幹回りは全国最大級の19・27メートルになる。「推定樹齢は約千年。その間に島は15回以上噴火したという。中が空洞になっても樹皮から栄養を吸い上げて生きている」。佐久間文夫さん(75)が案内する。「全国巨樹・巨木林の会」の全国大会が昨年10月末、初めて三宅島で開かれ、大勢の会員らが巨樹の森を歩いた。
1940年以降、雄山は約20年周期で4回噴火した。全島避難となった2000年の噴火では島全体の6割の森林が失われ、標高400メートル以上では樹木が育たないといわれた。佐久間さんは緑化事業で島へ来た。
火山島・三宅に魅せられ移住した人、戻った島民たちは様々な分野で活躍する=中山由美撮影