関西学院グリークラブ、貫くハーモニー 団員を支えた123年の伝統
創部120年以上を誇る男声合唱団、関西学院大(兵庫県西宮市)の「関西学院グリークラブ」が11日、県立芸術文化センターKOBELCO大ホール(同市)で「第91回関西学院グリークラブリサイタル」を開く。4年生にとって集大成の舞台だ。昨年の全国大会で日本一に輝いた合唱団も、コロナ禍では何度も活動を中止することに。そのたびに歌の力を信じ、逆境を乗り越えてきた。
「まだシンクロできてないで。そこ、もう一回」
演奏会まで2週間前になった1月末。関西学院大・西宮上ケ原キャンパスの片隅にある練習拠点「グリークラブホール」を訪れると、力強い合唱が響いていた。
合唱団は1899年に誕生。「赤とんぼ」で知られる作曲家の山田耕筰ら多くの音楽家も所属した。昨年11月に三重県であった第75回全日本合唱コンクール全国大会(全日本合唱連盟、朝日新聞社主催)の大学職場一般部門では文部科学大臣賞に輝いた。
コロナ禍、歌への風当たり強く
そんな強豪校もコロナ禍に苦しんだ。第123代部長の森一眞さん(4年)は「歌えないことで歌への熱が冷め、辞めていく部員もいた。新入生も入ってこなかったし」と明かす。80人いた部員は、ここ3年で半分に。練習を休まざるを得なかったり、年間約50回あった演奏会が次々に中止になったり。活動が困難な時期も少なくなかった。
新型コロナウイルスが広がり始めたころ、人が集まる場所で歌うことへの風当たりは強かったと森さんは振り返る。全日本合唱連盟のガイドラインに沿って団員の間隔をあけ、マスクをつけて歌うなどの感染対策を徹底し、なんとか活動を続けた。
どうして逆境を乗り越えられたのか。森さんいわく、「メンタルハーモニー」を貫いたからだという。全員の気持ちを調和させて歌うことで生まれるハーモニー。「自分たちの代でチームを途切れさせたくない」という思いが団員たちの支えになった。
今回の演奏会は、3年ぶりのホール開催。昨年は複数の部員がコロナに感染し、直前で中止になった。
バリトンパートの山中晴貴さん(4年)は「1年生の時に見た、ホールの2千席がいっぱいになった景色が忘れられない。小中学生に格好良いなと思ってもらえるような合唱がしたい」と話す。森さんは「コロナ禍を経て『復活』したチームを見てほしい。123年目の男声合唱の迫力を出していければ」と意気込む。
午後3時半開演。全席指定席でA席2千円、B席千円など。問い合わせは県立芸術文化センターチケットオフィス(0798・68・0255)へ。(岩本修弥)
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。