将棋の藤井聡太竜王(20)が5日、長野市で行われた第48期棋王戦五番勝負(共同通信社)の第1局で渡辺明棋王(38)に勝った。王位、叡王、王将、棋聖と合わせて五冠の藤井竜王と、名人と合わせて二冠の渡辺棋王が激突する頂上決戦。藤井竜王にとっては史上2人目の六冠が懸かる。対局後、敗因が思い浮かばない渡辺棋王が首をかしげる場面もあり、藤井竜王の強さが改めて際立つ内容となった。
開幕局のため、午前9時の開始前に振り駒が行われた。先手を握った藤井竜王は得意戦法の角換わりを選択。これに対し、渡辺棋王は最近はあまり指されていない展開に誘導した。渡辺棋王は、前日の記者会見で「藤井竜王とその他の棋士とで、指し方や対策を変えないといけない」と話していたが、その考えに基づいて用意してきた作戦と言える。
先に攻めたのは渡辺棋王。藤井竜王が反撃し、見応えのある攻防が繰り広げられた。中盤、渡辺棋王は、持ち駒の桂馬を打って相手の守備の駒を攻める。だが、その数手後、目標にされている守りの金を攻撃に活用した藤井竜王の構想が巧みだった。誤算に気づいた渡辺棋王は攻守の要の馬と相手の金との交換に応じたが、これでは苦しい。最後は、藤井竜王が自陣を安全にしながら相手の玉を捕らえ、125手で勝ちきった。
終局直後、「勝負どころがわからない」と語った渡辺棋王は、感想戦でも自らに言い聞かせるように言葉をつなぎました。
対局直後のインタビューでは…