スマートなカキ養殖、海を魅力ある仕事場に 水産ベンチャーの願い
吉田博行
太平洋を望む徳島県海陽町の那佐湾(なさわん)に並んだ長さ約70センチの筒状の黒いかごが、穏やかな波に揺れる。中で育つのはカキだ。
水温や揺れ具合などを計るセンサーが、かごにいくつも取りつけられ、5~20分おきに計測したデータが1日1回、ネット上のクラウドサーバーへ送られる。
「カキの生育に最適な環境の分析に役立てています」。ICT(情報通信技術)を活用したカキ養殖に取り組む水産ベンチャー「リブル」(海陽町)の最高技術責任者、岩本健輔さん(39)が説明する。
2018年、沖縄県の水産試験場で水産技師を務めた岩本さんや元商社マンの早川尚吾さん(35)ら県外出身の若者が設立。社名のリブル(Re:Blue)には「もう一度(Re)、水辺(Blue)を魅力的な仕事場へ」という願いを込めた。
かごの中のカキ、ICTで管理
国内では高齢化や後継者不足…