最終便が出発したら一斉に… バス会社の「苦行」、救ったのは
座小田英史
バスの停留所は、国内に53万カ所ある。
掲示されている時刻表は、紙やパネルに印字されたものが多い。ダイヤ改定のたびに、バス会社の社員らが手作業で張り替える。
「最終便の出発後、社員が一斉に張り替え作業に走りだしていた。多くの人手が必要で、時には大雨に打たれたり、都市部では酔っ払いに絡まれたり。大切な作業とはいえ、まさに苦行だった」
福岡県や佐賀県で路線バスを運行する西日本鉄道。自動車事業本部の課長、久池井(くちい)隆さん(54)は振り返る。
そんな長年の「苦行」から社員たちを解放したのが「スマートバス停」だ。
小倉の市街地にある同社のバス停には、大型液晶パネルが設置されている。時刻表が表示され、バスの現在地も一目でわかる。北九州空港の飛行機の運航状況も伝える。この路線で11あるすべてのバス停に備わる。
安川電機傘下のシステム会社「YEデジタル」(北九州市)と西鉄グループが一緒に開発した。
開発を担当したのは、YEの工藤行雄さん(47)。きっかけは、バス会社の社員がこぼした愚痴だった。
2012年、東京にある大手…