2022年12月9日昼、東京都内で東京ヤクルトスワローズの石川雅規と食事をしていた大竹耕太郎の電話が鳴った。スマホの画面に表示されたのは、当時所属していた福岡ソフトバンクホークスの編成担当の名だった。この日は出場機会に恵まれない選手を対象とした初の移籍制度・現役ドラフトの実施日。
かけ直すと「阪神に決まった」と言われた。21、22年と1軍で0勝に終わり「トレードとかあるかも」とは思っていた。
これまでの野球人生は決して順風満帆ではなかった。
熊本の進学校、済々黌(せいせいこう)高2年だった12年夏、翌年の選抜と甲子園を経験。早大では1年から神宮のマウンドに立った。その後はケガや不振に悩まされ、17年秋のドラフトでは育成4位でソフトバンクに指名された。
早大は多くのプロ選手を輩出…