認知症見守りにQRコード導入進む 読み取ると家族連絡
認知症の高齢者など、外出時に道に迷ってしまう恐れがある人たちの持ち物にQRコード付きのシールを貼ってもらい、発見した人が家族らに居場所を伝えられるシステムの導入が長野県内の自治体で進んでいる。2月1日からは長野県安曇野市でもサービスが始まった。
市高齢者介護課によると、システムの仕組みはこうだ。
まず、QRコード付きのシールを認知症の高齢者らの衣類や持ち物に貼り付ける。家族らに気づかれずに外出して道に迷ってしまった人たちを通行人が発見した場合、発見者がシールのQRコードをスマートフォンで読み取ると、インターネット上の専用掲示板につながる。
家族らには発見されたことがメールで通知されるとともに、発見者が認知症の人たちに付き添いながら、掲示板で居場所や状況を伝えることで、安全に引き渡すことができる。
全地球測位システム(GPS)を活用した見守りでは、外出した場所を追いかけて探すまでに時間がかかり、社会福祉協議会や市町村に通知されるシステムでは、担当者が不在の場合に家族への通報が遅れる可能性がある。
同課の高橋奈津子課長補佐は「認知症の人たちの安全を確実に確保でき、家族らの精神的な不安や負担も軽減できる」とシステムの効果を指摘。その上で「地域として認知症の人たちを見守る、という意識の啓発にいっそう努めていく必要がある」と話す。
県内では2018年度に上田市で運用が始まり、その後、中野市や諏訪市、御代田町などですでに導入されており、安曇野市が8市町村目。全国では257市区町村で導入されているという。
同市には認知症への理解を深め、見守る「認知症サポーター」が人口の約8%にあたる約7400人いる。高橋課長補佐は「サポーターにシステムの存在を周知するとともに、広報誌などを通じて地域にもシステムの仕組みを知らせていきたい」と話している。(安田琢典)
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