実質賃金、昨年は0.9%減 名目賃金の伸び、物価上昇に追いつかず

橋本拓樹
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 厚生労働省が7日公表した昨年分の毎月勤労統計調査(速報)で、物価の影響を考慮した「実質賃金」は前年比0・9%減と、2年ぶりに減少に転じた。「名目賃金」の増加が、物価の伸びに追いつかなかったためだ。

 名目賃金にあたる現金給与総額は2・1%増と2年連続で増え、増加幅は1991年以来の大きさだった。だが、実質賃金の計算に使う消費者物価指数の上昇率が3・0%とそれを上回り、消費増税のあった2014年以来の高水準となった。

 あわせて公表された12月分(速報)は、実質賃金が前年同月比0・1%増と、9カ月ぶりに増えた。名目賃金が4・8%増と、消費者物価指数の上昇率(4・8%)をわずかに上回ったためだ。ただ、名目賃金の大幅増は、内訳として賞与など「特別に支払われた給与」が7・6%伸びたことが要因。月給にあたる「きまって支給する給与」は1・9%増で、月給ベースでは実質賃金の減少が続いている。

 厚労省の担当者は今後の見通しについて、1月分は賞与を支給する企業が少ないことから、「(物価上昇が続く中)実質賃金の増加が続く可能性は低いのではないか」と話す。(橋本拓樹)

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