各地の首長選で「保守分裂」のなぜ? 北九州市長選は波乱の結果に

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城真弓 杉田基 上田真美 白見はる菜
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 各地の首長選で自民党が候補者を一本化できず「保守分裂」の様相が目立っている。5日に投開票された北九州市長選は自民、公明、立憲民主などの各党が推薦した候補者が別の自民系候補に敗れた。4月の統一地方選では徳島や奈良県知事選などが保守分裂になりそうで、背景には何があるのか。

 5日の北九州市長選は、自民党が擁立した元国土交通省官僚の津森洋介氏が、政党の支援を受けなかった元厚生労働省官僚の武内和久氏に敗れた。異例の結果の背景には、福岡における「麻生VS.武田」という因縁などから、自民が事実上の分裂選挙に陥ったことがある。

 市議会の自民会派が主導して津森氏を擁立したが、自民県議が対抗して立候補表明。最終的に党福岡県連が津森氏に一本化したものの、一部の自民市議が「党幹部が密室で決めた」として武内氏の支援に回った。

 武内氏はもともと2019年の県知事選で、自民の麻生太郎副総裁(福岡8区)が擁立した。麻生氏は、津森氏の推薦を承認する党本部の決裁文書に署名せず、選挙も静観した。

 武内氏陣営関係者は「あれが一番大きかった。麻生氏は動かなかったが、いくつかの企業が忖度(そんたく)して武内氏に回った」と話す。

 さらに、麻生氏や重鎮県議と不仲で知られる武田良太衆院議員(福岡11区)が1月中旬、菅義偉元首相を呼んで一緒に応援演説会を開こうとした。これには、県連幹部が武田氏の影響力が強まるのを嫌って難色を示し、立ち消えになった。県連幹部の一人は「武田氏が応援に来たら、麻生氏が怒り、市長選が政争の具になる」と振り返る。

 こうした県連内の確執で自民分裂が表面化。朝日新聞が投開票日に行った出口調査では、自民支持層は津森氏にも武内氏にも46%ずつが投じており、真っ二つに割れた。敗戦を受け、自民の森山裕選対委員長は5日夜、記者団に「自民党関係の票が完全に二つに割れているという現実を直視しなければならない。党組織の挙党態勢がどうだったのかということも点検をしてみる必要がある」と語った。

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    前田直人
    (朝日新聞コンテンツ戦略ディレクター)
    2023年2月7日16時48分 投稿
    【視点】

    あいまいな日本の政治。「保守分裂」というときの「保守」とは、いったい何なのか。これは、実はけっこう難しい問題です。一般に「保守分裂」と言うときの主体はだいたい自民党であり、「国政選挙であれば自民党陣営でたたかう勢力」ぐらいのところのイメージ

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