問題発言は撤回できるか 相次ぐ差別発言と「トーク文化」から考える
聞き手・田中聡子 聞き手・小村田義之
耕論「政権 相次ぐ発言撤回」
「死刑のはんこ」「生産性がない」「隣に住むのも嫌」――。政治家や政府高官による発言の撤回が相次いでいます。なぜ問題発言は続くのか。発言した事実は消えないのに、撤回に意味があるのか。3人の論者と考えます。
守るべきは「政治への信頼」 武蔵勝宏さん(政治学者)
同性婚をめぐる差別発言で、荒井勝喜・首相秘書官が更迭されました。問題発言が批判されることは経営者や芸能人にもありますが、首相の側近や国会議員の場合は発言の重みが違います。撤回してでも守られるべきものは「経営」や「人気」ではなく、国のあり方や政治への信頼です。特定の属性の人を攻撃したり、冒瀆(ぼうとく)したりする発言をすることは、とても罪深い。
昨年は、葉梨康弘氏や杉田水脈(みお)氏の発言が大問題となりました。一国会議員の発言が国会で大きく取り上げられることはあまりありませんが、葉梨氏は法相として、死刑を命じる重い職務を冒瀆した。撤回のみならず、更迭も当然です。岸田文雄首相の判断は遅すぎました。
記事の後半では、在米活動家の小山エミさんと、双日総合研究所チーフエコノミストの吉崎達彦さんにも話を聞いています。
一方、杉田氏が撤回を求めら…