胡錦濤氏、退席前の対話内容は? 台湾の読唇術大家に解読を依頼
昨年10月の中国共産党大会の閉幕式で、胡錦濤(フーチンタオ)前国家主席が退席させられた前後に、隣席の党幹部らが発していた言葉について、朝日新聞は専門的な読唇術の能力を持つ台湾の学校教員に解読を依頼した。現場で撮影された映像が拡散する中、ネット上では退席理由をめぐる様々な議論が続いていた。
この教員は重度の聴覚障害があり、読唇術を磨いて海外で博士号を得た。現在は読唇術を駆使して中国出身者を含む子どもたちを指導する。騒がしい教室内では十数メートル離れて座る子の発言も、唇の動きでつかんで対話しているという。「仕事でも日常生活でも支障は感じない。周囲で、私より読唇術の能力が高い人は多くない」と話す。一方で、「読唇術は自分が学校で教えている専門科目ではない」との理由で匿名での取材を希望した。
教員への依頼で用いたのは、英ガーディアンや米ボイス・オブ・アメリカ、シンガポールのテレビ局CNAなどが公表した、ネット上の映像だ。報道陣は退席劇が起きた直前に、舞台を遠く見下ろす位置にある人民大会堂のメディア席へ入場し、望遠カメラなどで舞台上を撮影していた。
閉幕式では、胡氏が手元にあった書類を見ようとしたところ、左隣の党序列3位だった栗戦書(リーチャンシュー)氏が胡氏に話しかけながら、制止するような一幕があった。この書類には、当時撮影された映像などから、新指導部人事が記されていた可能性が高いとされる。
教員はこの際の栗氏の言葉をこう解読した。
栗氏 「(習)主席がまだ(…
- 【視点】
一昔前の攻めている中国メディアみたいな角度の記事です。朝日新聞…というより日本の新聞ではあまり見ないのですが、中華圏に向き合うときは(たまに)こういう味わいのある切り口が大事です。結局真相がよくわからないところも含めて、とても心惹かれるもの