「大災害に遭ったようなもの」 列車閉じ込め、JR西でそのとき何が
松永和彦 田添聖史 阿部峻介 聞き手・高井里佳子
「大災害に遭ったようなものだ」。寒波の中、最長10時間近くに及んだ1月の列車内の閉じ込めについて、乗客の一人はそう振り返る。JR西日本の指令所や現場では、何が起きていたのか。専門家は「気象のせいにはできない」と指摘。同社は対応する基準の見直しを検討している。
その日は「10年に1度の寒波」が日本列島を襲うと言われていた。1月24日、JR西日本の近畿統括本部は朝から臨時の対策室を設け、警戒に当たっていた。
京都市内の積雪の予報は8センチ。同室は「計画運休をするほどではない」と判断した。懸念は、線路の分岐点にある融雪装置を前もって作動させるかどうかだった。凍結して線路の切り替えができなくなれば、列車の流れが止まる。
近畿管内には融雪装置が約2600カ所ある。手動で金属製の灯油タンクに火をともす「カンテラ式」が1500カ所、遠隔の電熱式が1100カ所。これらも、京都駅の周辺では使わないと決めた。使用の目安は社内基準で「6時間の降雪量が10センチ」とされていた。
しかし午後3時ごろから雪が降り始め、午後6時には京都駅の周辺で7センチほどの積雪に。「急激に降ってきた」と社員が思ったときはもう遅く、2時間後には、10センチに達していた。
身動きとれない車内 やがてため息や怒声
大津市の男性会社員(46)…