「日ロ関係は厳しいが…」岸田首相、北方領土返還要求大会に出席
「北方領土の日」の7日、岸田文雄首相は東京都千代田区の国立劇場で開かれた北方領土返還要求全国大会に出席した。あいさつでロシアによるウクライナ侵攻を踏まえ、「日ロ関係は厳しい状況にあるが、政府として領土問題を解決し、平和条約を締結する方針を堅持している」と訴えた。しかし、展望はなく、対立の厳しさが際立った。
昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻によって、日ロ交渉は一変した。日本は欧米諸国に歩調を合わせ、ロシアに経済制裁を科し、ロシアが反発。交渉は暗礁に乗り上げ、元島民らによる「北方墓参」、専門家や報道機関なども対象とした「ビザ無し交流」など「四島交流等事業」も中止になった。
昨年の大会は侵攻前だったこともあり、首相はあいさつでプーチン大統領との電話協議の内容に言及。「粘り強く交渉を進める」と語っていたが、今年は「方針は堅持している」と現状の認識に触れただけ。「四島交流等事業」の再開も「一日も早く事業が再開できるような状況になることを強く期待している」と述べるにとどまった。
大会に出席した林芳正外相は「現下の事態は全てロシアによるウクライナ侵略に起因して発生している」と指摘。「日本側に責任を転嫁しようとするロシア側の対応は極めて不当だ」と批判した。
これに対し、ロシアには安倍…
- 【視点】
身も蓋もない言い方になるが、シニカルに言えば、「昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻によって、日ロ交渉は一変した」わけではないだろう。 プーチン政権との日露交渉は、ロシア側には一貫して領土を返還する意思は無く、日本側の期待値だけが浮き沈み