岸田首相「私自身もNYでマイノリティーだった」 秘書官更迭を陳謝

岸田政権

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 岸田文雄首相が出席した衆院予算委員会の集中審議が8日開かれ、性的少数者同性婚に対する荒井勝喜・前首相秘書官の差別発言をめぐり論戦が繰り広げられた。

 質問に立った自民党宮下一郎氏は、荒井氏の発言をめぐり「差別と受け取られても仕方がない発言を行い、(首相秘書官の)職を追われる事態が発生したことは痛恨の極みだ」と指摘。そのうえで、性的少数者らに対する考え方などを首相に問うた。

 これに対し、首相は「今の政権においては、持続可能で多様性を認め合う、包摂的な社会を目指している。性的指向、性的自認を理由とする不当な差別、偏見はあってはならない。また、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きと生きることができる社会を目指していかなければならない」と話した。

 前秘書官の更迭については「一連の発言については、政府の方針とは全く相いれず、言語道断であるということから総理秘書官としての職務を解くこととした」と改めて陳謝した。

 首相は2020年に出した自著でLGBTを含む様々な人が活躍できる社会像について記述していることに触れ、「私自身もニューヨークで小学校時代、マイノリティーとして過ごした。また、これまでお会いした『女性だから』とか『高齢者だから』『LGBTだから』という理由で能力を十分に発揮できなかった方々の思いが土台になっている」とも説明。「多様な個性を持った人が活力を持って、それぞれの役割や能力を発揮することこそが、経済や社会を元気にしていく」と語った。

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    三牧聖子
    (同志社大学大学院准教授=米国政治外交)
    2023年2月8日11時21分 投稿
    【視点】

    日本で差別禁止の法整備が進まないことの理由の1つは、差別の問題をいまだに「個人の心の持ち方」に負わせすぎていることにあると指摘されている。 「私自身もNYでマイノリティーだった」という岸田首相の言葉は、「同性婚を認めれば社会が変わって

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    牧原出
    (東京大学先端科学技術研究センター教授)
    2023年2月8日14時33分 投稿
    【視点】

    いろいろなことが言える発言ですが、やはり今必要なのは次のような想像力です。 「政治家安倍晋三が健在だったら、何が今起こったか?」 この問題については、まさにこうした問いを思い浮かべてみることが大事です。 安倍氏自身どう発言