注目されるフランスの少子化対策、カギは「親へ期待しない」こと?
岸田文雄首相が「異次元の少子化対策」を掲げるなか、フランスの家族政策が注目されています。先進国の中でも高水準の出生率を維持し、「少子化の改善に成功した国」とされています。「フランスはどう少子化を克服したか」の著者で、現地で2人の子どもを育てる高崎順子さんに聞きました。
たかさき・じゅんこ 1974年、東京生まれ。出版社勤務を経て、2000年に渡仏。著書に「フランスはどう少子化を克服したか」(新潮新書)など。
――国会でも取り上げられるなど、フランスは「少子化対策に成功した国」というイメージがあります。
いまでこそ、そのようなイメージがありますが、以前は多くの先進国と同様、女性の社会進出が進むとともに出生率も下がり続けていました。日本と同様に、少子化の危機に直面していました。
経済協力開発機構(OECD)が発表した出生率のデータを見ると、1970年代半ばまではおおむね2・0前後をキープしていたものの、93年には1・66まで落ち込んでいます。フランスは、それまで出産を奨励する国で、多子家庭への手当などがあったのにもかかわらず、です。
この数字は、当時のフランス社会の「女性が働きながら子供を産み、育てることは難しい」という事実を政府に突きつけました。そうして育児と仕事の両立が難しくなったとき、女性はキャリアの継続を選ぶという状況が調査結果やデータから明らかになり、国としても無視できなくなったのです。
「本気」になったフランス政府
――その後の国の動きはどうだったのでしょうか。
「もっと、男女が平等に仕事…
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- 【視点】
この記事でなるほどと思ったのは、「フランスでは国全体として、「親ができること」に対しての期待値が低い。「親であれば、しっかり子育てできて当然」「子どものために自己犠牲してこそ親だ」という意識を持っている人は、ほとんどいないでしょう」という高
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