左右を超えて慕われた鈴木邦男さん 温厚さと反権力を併せ持つ東北人

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大内悟史
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同じ東北出身の佐高信さんに聞く

 新右翼団体「一水会」の創設者で、1月11日に79歳で亡くなった作家・評論家の鈴木邦男さんは、政治的な立場や世代を超えた幅広い人脈で知られた。政治家や大企業を舌鋒鋭く批判してきた評論家の佐高信さん(78)は、親交が長かった鈴木さんの人柄を「東北の男。親戚や近所によくいる『隣のおじさん』だった」と評する。

 福島県郡山市生まれの鈴木さんは、山形県酒田市出身の佐高さんにとって「ほぼ同年代で同じ東北出身。政治的には右と左、水と油と見られそうだが、むしろ共通点が多かった」と長く交友が続いた理由を語る。

 佐高さんいわく、「東北には口先だけで行動が伴わない『ベロ屋』を軽蔑する気風がある」。口数少なく温厚な鈴木さんの発想の根底には「弱い者、虐げられた者への共感。口ごもりながらの抗議。東北の男らしい反権力、反中央の意識があると感じた」という。

 作家の雨宮処凛さんや精神科医香山リカさんなど、鈴木さんを慕う「邦男ガールズ」の幅広い輪も生まれた。「邦男さんには姉がいたからか、女性に対して偉ぶるところがなく性別や世代、政治的立場を超えて対等な関係を結ぶ自然な雰囲気があった」。三島由紀夫の自決(1970年)に影響を受け、三島のほか高橋和巳や竹中労を好む読書家だった。佐高さんは「三島の評価や天皇制については意見が違った。でもその違いが面白かった」と、鈴木さんとの議論を懐かしむ。

 鈴木さんの名前を意識したの…

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