「親友もがれきの下に」「トルコの宝が……」 駐日トルコ大使が悲痛

トルコ・シリア大地震

星井麻紀
[PR]

 トルコ南部からシリア北部にかけて発生した大地震で、ギュンゲン駐日トルコ大使が8日、東京都内で記者会見した。犠牲者が増え続け、被災の全容が見通せない中、「日本の支援は心強い」と述べた。

 ギュンゲン氏は、「トルコも地震国で、様々な経験、能力がある」としつつも、「今回は規模が非常に大きく、トルコの持っている能力を上回る対応が必要だ」と指摘。「日本は防災の経験が豊富で技術もあり心強い」と話し、日本政府がいち早く救助隊を派遣したことに感謝を示した。

 現地では、零度を下回る寒さの中、倒壊した住宅などからの救助活動が続いている。ギュンゲン氏は「私の親友もがれきの下に残されている」と明かし、「時間がたつにつれ、明らかになっていく部分もある。死者や負傷者がどこまで増加するか予見できない」と述べた。一方、「ショックを受けているが、最後まで希望を捨てない」と話した。

 トルコは、ロシアのウクライナ侵攻で両国間の重要な橋渡しを務めている。ギュンゲン氏は、「大きな悲劇の中にあるが、トルコが国際社会における取り組みを怠るということはない。戦争終結に向ける努力を欠かさず続ける。(ウクライナ産)穀物輸送の協力も続ける」と話した。

 日本に暮らすトルコ人は約6千人。被災地域に家族や親族がいる人も多く、大使館は安否確認に追われているという。支援物資についての問い合わせも寄せられているが、義援金のみ受け付けている。

 大使は、「被災した地域は、トルコの中でも歴史や文化が豊かで、トルコの大切な宝物がたくさんある。それぞれの場所に思い出がある恋しい地域で、心を痛めている」と話した。(星井麻紀)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

今すぐ登録(1カ月間無料)ログインする

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

  • commentatorHeader
    星野典久
    (朝日新聞政治部次長)
    2023年2月9日0時21分 投稿
    【視点】

     もともと日本とトルコは特別な友好関係が続いている国同士です。両国の友好関係の発端は、133年前にさかのぼります。まだ明治のころの1890年9月16日の夜、 和歌山県串本町沖でオスマントルコの軍艦「エルトゥールル号」の海難事故が起きました。