五輪の入札、「出ますよね」と企業に念押し 運営のプロが越えた一線
植松敬 横山輝
談合容疑の中心として逮捕されたのは、東京五輪・パラリンピックを切り盛りしたと自負する大会組織委員会の元次長だった。意中の企業に赴き、「ちゃんと出てくれますよね」と入札を念押しする姿があった。汚職、談合と続発する事件を受け、「五輪の権威は落ちた」との声も上がる。
「『危機管理の博物館』とでもいうような難しい事態処理に取り組んだ7年でした」
組織委員会で大会運営局の次長を務めた森泰夫容疑者(55)は、大会が閉幕した2日後の2021年9月7日、関係者に宛てた一斉メールで、次長としての約7年を振り返った。
メールではコロナ禍での開催の難しさに触れ、「大会運営準備、とりわけ56競技にもわたるテストイベントを所管、運営した」と、本番を想定したテスト大会に言及。「五輪パラの実務にこれほど関わる人は今後もいない」と自負し、「極めて(大変でしたが)充実した、かけがえのない日々でした」と結んだ。
森元次長は大学まで陸上の中…