昨年の経常黒字、半減の11.4兆円 過去最大の貿易赤字が影響
松山尚幹
財務省が8日に発表した2022年の国際収支(速報)によると、貿易や投資による海外とのお金の出入りを示す経常収支は前年比47%減の11兆4432億円の黒字だった。減少幅は10兆1478億円にのぼり、過去最大だった。
黒字がほぼ半減した主な要因は、貿易収支が過去最大の15兆7808億円の赤字に転じたことだ。原油などの資源・エネルギー価格の高騰に、一時1ドル=150円台となった記録的な円安が重なって輸入額が過去最大の114兆4711億円となり、輸出額の伸びを大きく上回った。
黒字を支えたのは、海外投資からのもうけを示す「第1次所得収支」の拡大だ。円安の後押しもあり、前年比33%増の35兆3087億円の黒字で過去最大を記録した。自動車メーカーや商社などの業種で、海外子会社から受け取る配当が増えた。
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