医師3人が「がんの疑い」見落とし、患者2人その後死亡 滋賀の病院
滋賀県高島市の高島市民病院は8日、「がんの疑い」と診断された市内の患者3人のCT画像診断報告書を、医師3人が見落とす医療過誤があったと発表した。うち患者2人は転院先の病院でがんの疑いで亡くなった。病院は、見落としによって治療の遅れや病状の進行につながったことを認め、遺族らに謝罪した。
病院によると、亡くなった2人は2019年1月に受診した80代男性と、3月に受診した70代男性。70代男性が8月、80代男性は11月に再受診した際、CT検査でがんの疑いとされ、以前の見落としが判明した。それぞれ別の病院で治療を受けたが、2人は20年に亡くなった。
病院が19年末に過去のCTやMRIの報告書を調査した結果、15年に受診した90代女性についても見落としが判明した。ただ、親族が治療などを望まず、病状の進行と見落としとの因果関係は確認できなかったという。
CT画像診断報告書には放射線科医が「がんの疑い」と記載していたが、病院は「主治医3人は患者の別の疾患の治療に集中していたため、記載を見落とした」と説明している。
病院は問題を受け、電子カルテシステムに未読の報告書を通知する機能を追加するなど、再発防止策を講じた。80代男性の遺族に賠償する予定で、70代男性の遺族とも協議中という。
この日の会見で武田佳久病院長は「患者様並びにご家族の方々に心より深くおわびを申し上げます」と謝罪した。(仲程雄平)
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