詐欺グループ、過去にタイにも拠点か 被害金3千万円超の空輸も計画
フィリピンを拠点とする特殊詐欺グループのトップとみられている渡辺優樹容疑者(38)が、2017年ごろにタイ国内にも同様の拠点を持っていた疑いがあることが捜査関係者への取材でわかった。この時期にだまし取ったとされる現金約3700万円が日本からタイに持ち出される直前に差し押さえられていたこともわかった。
渡辺容疑者は同じグループの幹部とされる小島智信容疑者(45)とともに特殊詐欺事件に絡む窃盗容疑で逮捕状が出ており、9日にもフィリピンから日本に移送される見通し。
フィリピン当局は19年11月、マニラ市内の廃ホテルに設けられた特殊詐欺グループの拠点を摘発。だます電話をかける「かけ子」役の日本人36人を拘束した。警視庁は、この拠点のトップが渡辺容疑者だとみている。
捜査関係者によると、渡辺容疑者がフィリピンを拠点とする前の17年に、タイに滞在していたことが出入国の記録から明らかになった。これまでの捜査の過程で、この時期にタイで特殊詐欺の拠点を持っていた疑いが浮上したという。
3692万円、タイに向かう直前に
この年の12月、中部空港(愛知県常滑市)で3692万円の現金が差し押さえられた。タイ・バンコク行きの航空機に乗る女の荷物に入れて不正に持ち出されそうになったが、警察官に阻止された。この現金の「所有者」は渡辺容疑者で、同年10~11月に日本国内でだまし取ったキャッシュカードから引き出されるなどしたものだったという。警察は、女らは現金の運び役だったとみている。
19年4月には、フィリピンにいた渡辺容疑者のもとに交際相手の女が訪れ、日本から持ち出した現金2千万円を渡したとされることもわかっている。
詐欺手口の詳細が判明
タイに持ち出されようとした…