「ひとつのまろやかな音」 吹奏楽の名門「習高サウンド」の秘密とは

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近藤咲子
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 木管楽器による繊細な響きの「習高(ならこう)サウンド」を奏でる吹奏楽部が創立60年を迎えた。吹奏楽王国と呼ばれる千葉の名門・習志野市習志野高校で受け継ぐ伝統の音色はどう育まれたのか。節目を祝う演奏会が12日に開かれるのを前に、歴代の顧問や卒業生が集まった練習で探った。

 「どう?感覚戻ってきた?」「じゃあ、もう一回やってみよう」

 1月22日午後7時過ぎ、習志野高校の音楽ホールで、指揮台に座る吹奏楽部顧問の石津谷治法(いしづやはるのり)さん(64)が笑った。前には部の卒業生が並ぶ。幅広い年代の約100人が石津谷さんの指揮棒を見つめ、真剣な表情で楽器を構えた。

 練習していたのはエルガーの「威風堂々」。創部60年を記念した特別演奏会の目玉のひとつで、パイプオルガンや合唱を取り入れて壮大に演奏する。「想いの共有と引き継ぎ」をコンセプトに、約430人の部員と卒業生が歴代顧問の指揮で過去のコンクール曲や野球応援曲などを披露する。

 吹奏楽部は1962年に活動を始めた。81年に初出場した全日本吹奏楽コンクールにこれまで計35回出場し、金賞を25回受賞した。フルートやクラリネットなど木管楽器を重視した独特の音色は「習高サウンド」と呼ばれ、全国に熱心なファンを持つ。昨年11月に習志野文化ホールであった定期演奏会のチケットは即日完売した。

 数度の顧問交代を経て、つないできた習高サウンドはどう作られたのか。

 吹奏楽部は元々、夏の高校野球の応援のために結成され、部員は30人程度だった。

 変化のきっかけは76年に赴任した新妻寛さん(81)がもたらした。フルート奏者だった新妻さんは部の顧問に就任後、特徴がある音を作ろうと、木管楽器をより重視した音作りにかじを切った。

 フルートを最前列にし、当時…

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