海外で臓器移植をあっせん容疑、NPO理事を逮捕 約3千万円受領か
海外での臓器移植を許可なくあっせんしたとして、警視庁は、横浜市に事務所を置くNPO法人「難病患者支援の会」の理事、菊池仁達(ひろみち)容疑者(62)=横浜市都筑区=を臓器移植法違反(無許可あっせん)の疑いで逮捕したと9日発表した。菊池容疑者は調べに「海外で行われる移植は許可がいらないと思っていた」と供述しているという。同庁は同日、この法人を両罰規定に基づき同じ容疑で書類送検した。
海外での臓器移植に絡む同法違反容疑での摘発は全国初という。
生活環境課によると、菊池容疑者と同法人は厚生労働相の許可を得ていないにもかかわらず、肝臓移植を希望する東京都内の男性患者の親族に「ぎりぎりの数値だから早くした方が良い」などと勧め、昨年2月に渡航先の東欧・ベラルーシの病院で、亡くなった人から摘出した肝臓を移植する手術を受けさせた疑いがある。渡航移植費名目で約3300万円を患者の親族からNPOの口座に振り込ませていたという。
臓器移植法は、死体からの臓器移植を対象に、無許可によるあっせんを禁じている。
捜査関係者によると、男性は移植手術後の帰国途中で体調を悪化させ、都内の病院に入院。家族から改めて生体肝移植を受けたが、体調が回復せずに昨年11月に死亡したという。
関係者によると、同法人があっせんした海外での臓器移植では、この男性のほかにも手術後に合併症を引き起こして重篤な症状になった患者がいた。
同法人は2007年設立。ホームページでは「腎・肝・心臓・肺移植の海外渡航に関する支援及び情報提供が私たちの活動」とうたっている。今年1月、新規患者の対応は3月末で終了するとしていた。(大山稜)
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