アップルと日本政府、アプリ市場巡り火花 CEOが首相に懸念伝える
スマートフォン向けアプリの配信市場を巡り、米巨大ITへの規制を検討する日本政府の動向にアップルが神経をとがらせている。最大の焦点は、アップルが自社のストア以外からのアプリのダウンロードを制限していることだ。政府はアプリストアの「開放」を検討するが、アップルはセキュリティーリスクが高まるなどとして猛反対している。
2022年12月、3年ぶりに来日したアップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)が岸田文雄首相と面会した。関係者によると、岸田氏はマイナンバーカードの機能をiPhoneに搭載できるようにすることを要請。それに対し、クック氏は日本政府が検討するアプリ配信市場への規制について懸念を伝えたという。
発端は、スマホの基本ソフト(OS)市場の寡占と対応策について検討する政府の「デジタル市場競争会議」が同年4月に公表した中間報告書だ。スマホOSの国内シェアは、アップルの「iOS」とグーグルの「アンドロイド」で9割超を占める。中間報告では、アップルとグーグルが自らに都合の良い「ルール」を設定し、競争を優位に進めている懸念があると分析していた。
280ページに及んだ中間報告が示した論点は計27項目もある。アプリストアでは2社の課金システムの利用が義務づけられ、アプリ事業者は最大30%の手数料を徴収される。両社のOSではそれぞれ自社のブラウザー(閲覧ソフト)が初期設定され、端末からの削除を制限している――。こうした実態がずらりと並んだ。
とくにアップルが強く反応したのが「サイドローディング」の問題だった。
サイドローディングとは正規…