甲子園の名将、ライバルに公開質問 息をのむ120秒のやりとり
野田枝里子
夏の全国高校野球選手権大会で日大三(西東京)を2度の優勝に導いた小倉全由監督(65)が9日、3月限りで勇退することを明らかにした。
小倉監督よりも一足先にユニホームを脱いだ帝京の前田三夫・前監督(73)とは、東京の強豪同士のライバルとして、何度も対戦し、競い合ってきた仲だ。
ともに全国制覇経験がある名将2人が、昨年の暮れ、言葉を交わすシーンがあった。
わずか120秒のやりとりに、会場にいた誰もが、じっくりと聴き入っていた。
「前田監督、今日はどうもありがとうございました。自分も、学ばせてもらいました」
声の主は小倉監督。東京都内の高校野球指導者ら約230人が集まった中でまさかの名将の発言に、会場がどっと沸いた。
昨年12月、東京都高校野球連盟が開いた指導者研修会で、2021年夏で勇退した帝京の前田さんが講演した。
1時間半の講演で監督生活50年を振り返った後の質疑応答で、最後に小倉監督が質問したのだ。
「前田監督には負けて、負けて、初めて甲子園に出させてもらったのが昭和60(1985)年。自分が28歳で、監督が36歳だったと思います」
小倉監督は81年に関東第一…