第9回まるで求道者、吉田正尚「打撃は生き物」 山本由伸の打ち方を聞いた
プロ野球オリックス・バファローズでパ・リーグ連覇と日本一に貢献し、大リーグ・レッドソックスと5年総額120億円規模で契約した吉田正尚(29)は、まさに打撃職人だと思った。
日本選手随一の打撃力を誇る左打者を取材していると、バッティングをよく「生き物」に例えていた。
「(二度と)同じことが野球では起こらない。相手も自分も、球場も違うから」
球種、球速、変化球のキレ……。投手によってだけではなく、その時々で全てが異なり、球場のマウンドや打席からの見え方によっても状況は違う。
自分のコンディションも1日として同じことはないし、打席の中で微妙に打ち方を変えるべきだと考えていた。
ドラフト1位のルーキーイヤーだった2016年に2桁本塁打をマークすると、以降は毎シーズン打率3割を超えた。20年から2年連続で首位打者、21年から2年連続で最高出塁率のタイトルを獲得した。
それでも、まだ模索していた。
「練習でいくらできても、試合でできないことがある。その中でも確率を上げる方法はあると思っている。そこに答えは出ていない。ずっと追い求めていくのかな」
この話を聞いたのは、昨年7月21日。本拠地で2試合連続本塁打を放った試合の後だった。
まるで“求道者”だ。
「自分の引き出しを使いなが…

言葉でたどる大谷翔平の軌跡
エンゼルス大谷翔平の語録集。幼少期から高校野球、日本ハム、そして大リーグまで大谷の軌跡をたどります。[もっと見る]