中国気球「合理的に説明する材料が乏しい」 それでも米が撃墜の背景

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聞き手・鈴木友里子
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 米軍が中国の気球を撃墜し、緊張が高まっています。米国は、気球は中国が監視用に飛ばしたものとみて「明らかな米国の主権の侵害で、国際法違反」と非難するのに対し、気象分析などのための「民用」の気球だと主張する中国は「明らかな過剰反応であり、国際慣例の重大な違反」と反発しています。両国の主張について、東京大学の鈴木一人教授に聞きました。

 ――米国は気球飛来について「国際法違反」として中国を非難しています。

 国家は領空に対して排他的に管轄権を持っており、その国家が認めない限りは領空内に入ることはできない、というのが一般国際法の考え方です。米国の許可を得ずに入ってきたものは領空侵犯になります。

 一般国際法というのは、明文化されているわけではないが、全ての国際法の大原則、大前提となるルールのことです。出入国管理法のような国内法であれ、難民条約のような国際条約であれ、「国家が領域内の排他的管轄権を持っている」という前提のもとに成り立っています。

 今回、中国はその大原則を破ったということで、紛れもなく領空侵犯に当たります。

 ――一方で、中国は米国が気球を撃墜したことについて「国際慣例」に反すると主張しています。

 今回の気球が米国上空の領空…

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