親が育てられない子どもを匿名で預かる「赤ちゃんポスト」(ベビーボックス)を東京都内に設置する計画を公表した医療法人社団の小暮裕之理事長(44)が9日、先進地である熊本市の慈恵病院を視察した。理事長は「虐待を減らしたい」と狙いを話すが、行政側は慎重な姿勢で、開設への道筋は見えていない。
慈恵病院は2007年から「こうのとりのゆりかご」と名付けてベビーボックスを運用する。同社団「モルゲンロート」の小暮理事長は職員の案内で、子どもを預かるまでの流れを確認。視察後の取材に、「他院にも広がるような持続可能なシステムを作りたい」と話した。ベビーボックスを運用するNPO法人の設立を近く申請するという。
赤ちゃんポスト
親が育てられない子どもを匿名で預かる窓口。「ベビーボックス」という呼び方が広がっている。熊本市の慈恵病院が2007年、「こうのとりのゆりかご」と称して開設し、21年度までに161人の子どもを受け入れた。うち自宅での出産が半数超で、父母などの居住地別では15・5%が関東地方だった。北海道当別町で今年5月、女性が本格的に運用を始めたが、道は自粛を求めている。
小暮理事長はこの日、「ゆりかご」に預けられた宮津航一さん(19)とも熊本市内で初めて面会した。宮津さんは東京での動きについて、「ゆりかごが広がらないんじゃないかと危機感があった。前向きに捉えているし、東京にもできてほしい」と話した。
小暮理事長の視察時、慈恵病院の蓮田健院長は手術中で、面会はできなかった。蓮田院長は報道陣の取材に、「まずやってみて足りない部分を改善し補う。そういう方法がいいのではないか」と話した。
小暮理事長が計画を公表した…