甲子園出場校の校歌を弾き語る歌手 目標失った球児に贈った「花道」
シンガー・ソングライターのかぎたちゃこさん(30)は、春夏の甲子園に出場経験がある高校の校歌を歌う動画をユーチューブで配信している。温かな歌声と明るく元気な性格が特長だ。
大阪出身のちゃこさんは、チャンネルは2012年に開設。当初は自身が作詞作曲したオリジナル曲を配信していた。
校歌を歌い始めたのは、19年夏のこと。甲子園球場で全国高校野球選手権大会の決勝を観戦する予定だった。
履正社(大阪)と星稜(石川)の対戦。「どっちが勝っても校歌が歌えたら楽しい!」と自宅で両校の校歌を予習し、弾き語りする様子を動画で投稿した。
履正社29秒、星稜46秒と短い動画だったが、コメント欄では「甲子園で流してほしい」と好評だった。
演奏は、楽譜なしで音を聴いて再現するいわゆる「耳コピ」。47都道府県の高校の校歌をアップするのが目標になった。
気づきも多かった。
例えば、優勝経験のある作新学院(栃木)の校歌は、2拍子や4拍子ではなく3拍子。動画内の説明に「七・五調の歌詞が3拍子になじむ」と書いた。
「学校ごとの個性が校歌に出ていて、作業していても、すごく楽しかった」
チャンネル登録者は1910人(23年2月現在)。正確な歌詞やコードを再現するのに苦労しつつ、これまでに46曲を投稿。ポップなテイストで知られる明豊(大分)の校歌は約3万6千回再生された。
高校野球との縁は「あの強豪校」
高校野球との縁は、甲子園と結びつきが強い「あの高校」に通っていた頃にさかのぼる。
ちゃこさんが高校野球と出合…