中小企業の賃上げに負の影響は? トヨタ、部品値下げ要請を再開へ
編集委員・木村裕明
トヨタ自動車が、下請け企業から購入する部品の定期的な値下げ要請を再開する。中小企業がコスト増を適正に価格転嫁し、賃上げしやすくする環境整備が進むかどうか、かつてない関心が集まる。そんなタイミングでの値下げ要請再開が、今後本格化するグループ各社の賃金交渉や、労組のない取引先企業の賃上げに、負の影響を及ぼすことはないのか。
トヨタは直接取引がある1次部品メーカー約500社について、一部の中小企業などを除き、値下げ要請をほぼ1年ぶりに再開する。定期的な値下げ要請は、減産の影響を考慮して2022年度は見合わせていた。
電気代の上昇に伴うコスト増の一部をトヨタが引き続き負担するため、直接取引のある「1次」の部品メーカーに支払う製品単価は全体では上がるとトヨタは説明している。
ただ、「原価低減努力」に伴う値下げ要請を再開することで、対象企業が受け取る値上げ幅はその分縮小することになる。
取引の適正化は今春闘の焦点…