「トムヤムクン味のみそ汁を…」むちゃ振りに応える開発部長の再現力

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石山英明
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 職場は、まるで学校の理科実験室。300ミリリットル入るビーカーにお湯とみそ、かつおや昆布などだしの原料を入れて混ぜ、少量を白い小皿に移して口に含む。

 「あと0.02グラム、かつおのだしが足りないかな」。大手みそメーカー、ひかり味噌(長野県下諏訪町)の宮坂茜・商品開発部長(42)が容器からスプーンですくうと、ぴったり0.02グラムだったのには記者も驚いた。

 同社は、みそ、インスタントみそ汁、インスタントスープなど、年200種類近くの新商品を売り出す。宮坂さん率いる商品開発部は、商品企画担当から「こんな味の新商品を」と注文を受け、その味を実現する原料の配合を割り出すのが仕事だ。

 味だけではない。商品の包装を考え、コストも計算する。宮坂さんのOKが出なければ新商品は世に出ない。これまでに試飲したみそ汁やスープは、3万種類近くにのぼる。

 使う原料は500種類以上。たとえば「かつお由来の原料」だけでも、粉末なのかエキスなのか、産地、加工場、加工方法の違いなどによって、十数種類もある。その味を一つ一つ覚え、微妙な違いが分かるようになるまで、数年はかかるという。

 「どの原料をどれぐらい混ぜ…

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