第17回物言う株主は会社を立て直せるのか 混迷の東芝にみる可能性と限界

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聞き手・杉山歩 土居新平
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 東芝の経営は混乱が続いている。経営陣は、アクティビスト(物言う株主)とされる海外投資ファンドとの関係づくりに苦慮してきた。投資家にとっての利益最大化を狙う海外ファンドと、中長期的な成長を志向する企業が、同じ方向をめざすことはできないのか。「ファンドの経営能力には限界がある」というスティーブン・ギブンズ弁護士に話を聞いた。

 ――東芝は2015年に不正会計が発覚するなどして経営危機に陥り、その後財務を改善させ、現在は非上場化を検討しています。

 「この10年の間でますます衰退したと感じています。東芝がここから大きく再生し、すばらしい会社に生まれ変わる可能性は低いと思います。ビジネスモデルを転換する時期はもう過ぎた」

 「5年前に(約6千億円の第三者割当増資を引き受けた)海外ファンドが主導権を握り、よくなったかというと、なっていません。コーポレートガバナンス(企業統治)の面で、改善する効果はありました。ただ企業の業績をよくするためには、ガバナンスの改善だけでは十分ではない。株主がそれ以上の経営能力を補うことはできない。彼らが選任する取締役では、ポジティブな企業戦略や計画を立てることはできないと思います」

短期利益求めるファンドとの対話は可能か

 ――ファンド側に経営は難しいということですか。

 「一般的に、ファンドの要求…

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