段ボール2箱から始まった「死後再審」 残された辞典に引かれた赤線

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茶井祐輝
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 「よう頑張ったなあ。ごくろうさんやったなあ。これで何も考えることはないんやで」

 無実を訴え続けて亡くなった父に、長男の阪原弘次さん(61)=滋賀県彦根市=は、そんな言葉をかけたという。きょうだいの間でも「もうええやん。普通の生活しよう」といった声が出ていた。

 数カ月後、2箱の段ボール箱が届いた。

 ジャンパーやタオル、入れ歯の安定剤――。父の遺品が入っていた。国語辞典の「強盗」の2文字に赤線が引かれていた。「たった2箱。父の人生は、なんやったんや」。悔しさと悲しさ、押し殺そうとしていた怒りがこみ上げた。

 「父の無念を晴らすため、家族一丸となって戦う」

 そう決めて2012年3月…

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