第24回多様性なぜ必要?企業の腹落ちが大事 入山教授と考える日本の宿題

有料記事

聞き手・稲垣千駿
[PR]

 ダイバーシティー(多様性)が重要と言われて何年も経つにもかかわらず、日本企業では女性登用の歩みが遅い。何が足りないのか。ベストセラーの著書「世界標準の経営理論」などで知られる早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授に語ってもらった。

 ――日本企業のダイバーシティーへの取り組みがうまくいっていないようにみえます。

 「全然うまくいっていないですね。うまくいっているのはだいたいベンチャーか外資系企業で、旧態依然とした大企業と中堅企業は今のところ厳しいとみています」

 ――どうしてでしょう。

 「会社はいろんな要素がそれなりにうまくかみ合っているから回る。逆にうまくかみ合っているから、どこか1個が時代に合わないから変えようとしても変えられない。その場合、全体を変えるのが重要です」

 「ダイバーシティーも同じで、本当にやるときは全体を変える必要があります。ただ、言うのは簡単でも実際にやるのは難しい。日本の会社はダイバーシティーと正反対の同質人材で仕組みが固まっています。本当にやるなら新卒一括採用や終身雇用、人材の評価制度、働き方も見直さないといけない。旧来型の会社は抵抗が大きいし、トップダウンでやるにも時間がかかる。あと、日本の会社は社長の任期が短いので、長期で取り組めないんです」

「何のためのダイバーシティー?」 答えられなかった大企業

 ――経営者の意識にも課題がありますか。

 「6~7年前、大手企業のダイバーシティー推進室長がいっぱい相談に来たことがあります。安倍晋三政権下で国会に女性活躍推進法案が出され、いろんな会社が急いで推進室をつくったんですが、みんなどうしたらよいか分からなかった。『御社は何のためにダイバーシティーをやるんですか』って質問しても、ほとんどがちゃんと答えられませんでした。業績を上げてミッション、ビジョンを達成し、みんなが楽しく幸せに働けるようにするためのはずなのに、何のためにやるのかを考えていなかったんです」

 「日本の最大の課題は、なぜ…

この記事は有料記事です。残り2418文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

連載資本主義NEXT 会社は誰のために(全27回)

この連載の一覧を見る