「日野町事件」の再審可否、大阪高裁が判断へ 検察の抗告、過去にも

森下裕介
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 滋賀県日野町で1984年、女性(当時69)が殺害され、金庫が奪われた「日野町事件」をめぐり、大阪高裁(石川恭司裁判長)が27日、裁判をやり直すかどうかの決定を出す。強盗殺人罪で無期懲役が確定し、受刑中に75歳で病死した阪原弘(ひろむ)元被告の遺族が申し立てた「死後再審」。再審開始を認めた2018年の大津地裁決定に対し、検察側が抗告した。高裁も再審開始を認めるか注目される。

 元被告は捜査段階で自白したが、公判では無罪を主張した。大津地裁決定は、専門医鑑定書などを踏まえ、遺体の損傷状況と自白の内容は整合しないと判断。警察官から断片的な情報を与えられた結果、奪われた金庫の発見場所を案内できた可能性があるなどとし、有罪には「合理的な疑いがある」と結論づけた。

 再審開始決定に対し、検察側が抗告などをした事例は過去にもある。決定を支持し、再審無罪につながったケースもあれば、決定が取り消された事例もある。

 茨城県利根町布川(ふかわ)で1967年に男性を殺害し、現金を奪ったとして、強盗殺人罪で無期懲役が確定した桜井昌司さん(76)らの再審請求では、水戸地裁土浦支部が2005年に再審開始決定を出した。東京高裁最高裁も支持し、11年に再審無罪が確定。「布川事件」として知られる。

 一方、三重県名張市で61年に女性5人が死亡した「名張毒ブドウ酒事件」では、05年に名古屋高裁が再審開始決定を出したが、検察側の異議申し立てを受けて取り消された。殺人などの罪に問われた奥西勝元死刑囚は89歳で死亡。遺族が再審請求をしている。

 66年に静岡県清水市(現静岡市清水区)で一家4人を殺害したとして、袴田巌(いわお)さん(86)の死刑が確定した「袴田事件」では、14年に静岡地裁が再審開始決定を出した。検察側の抗告を受け、東京高裁は18年、決定を取り消したが、最高裁が20年、高裁に審理を差し戻した。高裁は3月13日、再審開始の可否について決定を出す予定だ。(森下裕介)

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