制裁1年、変わらぬロシアの日常 iPhoneもコカ・コーラも販売
ウクライナへの侵攻から1年が近づく中、制裁を受けているはずのロシアの市民生活は、侵攻前とほとんど変わっていない。
昨年12月の失業率は3・7%でフランスの半分ほど。街を歩けばiPhoneなどの外国製品が店頭に並び、GAPといったブランドも営業を続けている。制裁の効果が一見表れていないのはなぜなのか。
モスクワ中心部のスーパーで2月半ば、商品棚にコカ・コーラのペットボトルや瓶が並んでいた。ラベルを見ると、英国やイタリアなどからの輸入品だった。
近くの家電量販店ではiPhoneも大量に売られていた。
ロシアのウクライナ侵攻を受け、コカ・コーラやアップルなど多くの外国企業がロシア事業の撤退や営業停止を決めた。日本企業でも、ユニクロは営業を停止し、トヨタ自動車は生産撤退を発表した。
だが、外国メーカーがロシア向け製品の販売を停止しても、いまも多くの商品が正式ルート以外で輸入されている。ロシア政府が侵攻後、こうした輸入をしやすいよう法整備を進めたことも一因だ。
肉や野菜、ワインなど食料品は豊富に店に並ぶ。地元企業がコーラの類似商品を発売し、ロシアで生産された仏ダノンの乳製品も売られている。
撤退したマクドナルドの店舗が地元チェーンとして再スタートするなど、多くの飲食店もにぎわう。
制裁の効果が見えない理由の一つに、ロシアが2014年ごろから、食料品から工業製品まで広範囲に輸入から国産への転換を進めてきたことがある。
ジェトロ(日本貿易振興機構)の梅津哲也モスクワ事務所長は「輸入が止まっても大丈夫な素地があった」と指摘する。
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