第19回「物言う株主」こそ日本を救う? 企業法務の達人が投資家に託す期待

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聞き手・小出大貴
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 「もの言う株主」として株価向上策を企業に迫る村上ファンドが注目されてから20年あまり。アクティビストと呼ばれる彼らのような投資ファンドが、再び日本企業への投資を増やしている。企業の経営陣と対立することも多いが、企業にアクティビストへの対応について助言している牛島総合法律事務所の牛島信弁護士は「アクティビストは日本経済を救う可能性も秘めている」と言う。

 ――なぜアクティビストに期待しているのでしょう。

 「コーポレートガバナンス(企業統治)を企業に徹底させる働きができるからです。日本の『失われた30年』と呼ばれる経済停滞を抜け出すには、選挙があることで短期的な視点になりがちな政治に頼るのではなく、個々の企業を引っ張り上げるしかありません。その手法がコーポレートガバナンスだと私は考えています」

 「具体的には社長の決め方を変えることです。企業は社長次第です。持っている資産の合計より時価総額が低いような企業に、惰性での社長交代を許してはいけません。社長に対立することもいとわない『真に独立した社外取締役』を中心とした指名委員会が社内外の候補者から次期社長を決められるかが、まず問われます」

 「ただ、真に独立した社外取締役のいる企業はまだ極めて少数です。そこで、こうした漫然と引き継がれる経営への指摘や社長・取締役の人選について提案できる存在が『良質なアクティビスト』です」

変容するアクティビストと機関投資家

 ――「良質なアクティビスト」とその他の違いは。

 「近年、『良質』と、そうで…

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