H3打ち上げ中止、国産ロケットどうなる 影響と今後を識者に聞いた
聞き手・矢田文 聞き手・水戸部六美 聞き手・竹野内崇宏
日本の新型ロケット「H3」の初号機の打ち上げが中止された。主エンジンは着火したものの、何らかの異常が検知され、補助する固体ロケットブースターが着火しなかった。
想定の範囲内なのか、今後の宇宙政策への影響はあるのか、有識者に聞いた。
的川泰宣・宇宙航空研究開発機構(JAXA)名誉教授の話
とても楽しみにしていたので残念だ。固体ロケットに着火しないというのは珍しいケース。メインエンジンか固体ロケットに何かしらの原因があると思ったが、着火信号を送る制御用機器の周辺に原因がある可能性が高いということだった。
制御が関係した電子部分は非常に複雑に回路がつながっている。回路プログラムの正常さはチェックできても、その回路に使われている部品1個1個が正常かどうかのハード面のチェックは難しい。回路上の半導体が劣化していたなどの可能性が考えられると思う。
ただ、これに関しては正直、運のような問題でもある。半導体の不良率は限りなく0に近いが、何万もの部品を使っていれば、少しずつその成功率も下がる。
半導体のハード面が原因となると、その対策はなかなか難しい。半導体の質そのものを高めてもらうとか、あるいは部品の数を減らすとかになる。ただ、H3はすでに部品の数は減らしているので、これ以上となると厳しそうだ。
今回の打ち上げについて、中…