北朝鮮が短距離弾道ミサイルを2発発射 米韓軍事演習への牽制か
韓国軍の合同参謀本部は20日、同日午前7時から同7時11分ごろにかけて、北朝鮮中西部の平安南道付近から日本海に向けて、短距離弾道ミサイルが2発発射されたと発表した。北朝鮮の弾道ミサイル発射は18日以来。日本の防衛省によると、いずれも日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下したと推定されるという。
韓国軍によると、2発はそれぞれ390キロ、340キロ飛行し、日本海上に着弾したという。防衛省によると、1発目は同日午前6時59分ごろに発射され、最高高度は約100キロ、飛翔(ひしょう)距離は約400キロ。2発目は同7時10分ごろに発射され、最高高度は約50キロ、飛翔距離は約350キロだった。
一方、北朝鮮の朝鮮中央通信は20日、北朝鮮軍が同日午前7時ごろに、放射砲(多連装ロケット砲)の射撃訓練を行ったと報じた。「600ミリ放射砲を動員して、発射地点からそれぞれ395キロと337キロの射程の仮想標的を設定した」とした。
朝鮮中央通信は19日、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル「火星15」の発射訓練を18日に実施した、と報じていた。18日に北海道渡島大島沖に落下したミサイルを指すとみられる。「火星15」は米本土が射程に入るとされる。
北朝鮮は昨年1年間で過去最高の約70発の弾道ミサイルを発射したが、今年は元日に撃った後は控えていた。ここにきての相次ぐミサイルの発射は、3月に過去最大規模の合同軍事演習を予定するなど連携を強める米韓への牽制(けんせい)とみられている。
米韓軍は北朝鮮による18日のミサイル発射への対抗措置として、朝鮮半島周辺で両空軍による空中訓練を19日に実施した。朝鮮中央通信によると、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)総書記の妹で朝鮮労働党副部長の金与正(キムヨジョン)氏は20日に談話を出し、「最近、朝鮮半島地域で米軍の戦略的攻撃手段の動きが活発になっている」とし、「太平洋を我々の射撃場として活用する頻度は、米軍の行動の性格にかかっている」と米軍を強く牽制。今後太平洋に向けてミサイルを撃つ可能性を示唆した。(稲田清英=ソウル、高橋福子)
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